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サイズ: 1/144スケール
使用頻度:2022.11/12完成
「水星の魔女」主人公ガンダムです。 つい先日にも一体出品しましたが主力商品の主人公機にもかかわらずとにかく難解なキットです。合わせ目処理をするとクリアーパーツや塗装したフレームを取り出せなくなる脚部や、劇中のシェルユニット発光現象の再現のためにシール貼りを余儀なくされるところや、足の裏にあるバンダイの手抜き造形 等、 他のキットにはふつうに備わっている製作利便性が著しく欠けているガンプラと言えましょう。 普通に合わせ目をちゃんと消せて全塗装できている ~というだけのストレート組みだとしても並のHGUC1/144に倍する労力がかかります。 他のモデラーさんたちの出品価格にもその苦労が反映されているのをお察しいたします。
今回のエアリアルでは カラーリングの細分化など、配色パターンでは前回の作例に似せています。 また、今回はビームサーベルの色を実際の劇中色にあわせてグリーン系に変更しました。(前回の落札後にアニメをもう一度第一話から見直してビックリしました) 主人公機のクセにあまりにも作り勝手が悪い製品だと思い知らされた教訓を活かし、もう少し要領よく作れるようにできないかと改善を試みました。 前回は実現できなかった手法を時間をかけてでも使用したり、逆に前回おこなった手法の中で実質わかりづらくて無益だった工作や、耐久性に難がでたり などという工作を廃したり ~をおこなっています。
◇外見的にもわかる前回の出品作例との変更点劇中の発光箇所は胸部上面以外にも 頭部の額/肩アーマー上面/胸部下面 などがありますがそれらをシールなしで塗装表現。 肩の前後面のモールドも発光箇所とするアレンジを行ったほか、機体の放熱部とおぼしきイエロー部や脚部のラジエート形状なども胸部発光パターンに準じた発色にあわせた塗装をおこない、メカ物アニメのターニングポイントでありがちな「リミッター解除」的な灼熱化の演出をおこなってみたりしています。
キット構成への工作点ガンダムヘッドゆえの頭部アンテナ研ぎ出工作。 前面のV字アンテナは先端がほとんど四角柱なくらいなので、ぜい肉フラッグ部の切除のうえで上下面から削り込んでゆき先端側を下部から研いで上へはねあげ。 耳のツノはザク等のブレードアンテナの加工をするように、板形状のパーツに前後への風切り形状をつけていく削り出しをおこなっています。 アンテナの断面が菱形(◇)になるように前後面を薄く、上部先端も額のアンテナ同様に上方へとがらせるように整形してあります。頭頂メインカメラのトサカ形状外周のラインを掘り込む工作。 ガンダムやジムによくおこなう、スミ入れ塗装をスムーズにキメる手法です。頭部の左右側面(耳の穴イエロー部のうしろ)にはドリル工作による三連開口モールド追加。耳の穴イエロー部の真上にあたる輪郭線モールドを掘り起こし。アニメで見ると線画的に明確なラインが見えるのですが造形的にはほとんど消えかけたモールドになっているのでスミ入れも可能なくらいに彫り直してあります。腹部の目のような横並びの開口部×2には後述のメッキビーズノズルの手法でゴールドのビーズ工作を追加。 製品仕様だとシールor塗装によってリング状の色違いに仕上げる部分を、ビーズ工作により別パーツ化した工作になります。両肩アーマーの装甲(ビットステイヴ装着用装甲)の両端に2mm径のマルイチ形状のパーツ(ガンメタル)を追加。 製品仕様だと○(まる)い凸モールドがありいちおう装甲を両端でネジ留めしているらしき造形になっているのですがスミ入れでフチどりしても消えるくらいに浅いのでパーツ化により造形を上乗せしました。製品としてはコトブキヤのマイナスモールド(ランナーP101)になります。ヒザ装甲を「あとハメ工作」。イエロー部の下に半分隠れている内側の装甲部です。このガンダムはとにかく塗装分解に不都合がありすぎるので一か所でも多く制作の利便性を向上させるためにおこなっています。 手法としては脚のフレーム側にある固定ピンの切除と外周のカット。固定軸を全て切除する工作ですがヒザアーマーの外周が固定形状を成しているためまったく問題なく固定されます。足の裏の肉抜き造形を補修。 このガンダムの脚の裏はアニメOPムービーでバッチリ映っているので、この製品が肉抜きだらけなのは証明されてしまいました。見過ごせない手抜き造形なので工作にて空洞部を補填。 具体的にはつま先側中央部の両脇の凹部2つ、レッド部の後端の2つ、計4箇所。 中央部は穴と同型に切り出した1.5mmプラ板で塞ぎ、レッド部はポリパテ充填・硬化・整形にて周囲のレッド部にあわせ平面化しています。ビームライフルのターゲットセンサー部にマルイチ形状(ガンメタル)を使用。1stガンダムなどではイエローのレンズ面になっていたりする箇所ですがこのガンダムの場合だと光学レンズ構造ではないようにも見えるのでシリンダー凸形状のレーダーセンサーふうの造形に仕上げてあります。 また、私のこれまでの出品作例にもあるようにメッキビーズ使用による細部ノズル追加工作とステンレス針を打ち込んでのピン打ちリベット追加工作もおこないました(彩り追加の工作)。
全体の基本的な製作は 各部接着を経ての合わせ目処理&パーティングライン処理・サーフェーサー・ガイアカラーによる塗装(つや消しコート含む)。 ガンプラを完成製作させるスタンダードな工程でおこなっています。 スミ入れはタミヤのエナメル塗料流し込み。色はグレー系とブラウン部を使用。 スミ入れ塗料が定着しにくい形状の部分などには0.05mmマーカーでのふき取り手法も使用しています。
塗装パターンは指定色をベースとしつつ、ホワイト面の端にブルーを混ぜた発色の異なる部分を織り交ぜる手法を使用。ウルトラブルーやコバルトブルー等で発色に変化をつけた約4パターンのホワイトを使用。一部、ブラックのパネル面を追加することでアクセントをつけるアレンジ(胸部/腹部/前腕/シールド など) 。逆にブルー等の暗い箇所をホワイト化(脇の下/ランドセル/ライフル)などもしています。この作例では、劇中の発光状態で肩の上が輝くライン等を塗装にて再現(製品仕様ではシール扱いになっている箇所)。 ブラック地にプライマリーメタリックレッドにてグラデ塗装し、塗装範囲の中心まわりが赤く発光している表現に仕上げてあります。 また、肩アーマーの前後面にある斜線の溝モールドも同様の発光状態にアレンジ塗装(設定上はただの凹部)。機体各所の放熱フィン等ラジエート形状をメタル塗装でオレンジ~レッドのグラデ塗装。 メカ物にありがちな「リミッター解除」「全開運転」「暴走」などの高出力状態と化している演出。胸部シェルユニット発光に連動して光り出したような見栄えを狙っての仕上げです。 具体的には 頭部側面の耳の穴/両ヒザ/背面ランドセル/大腿部後方のフィン形状(本来はイエローの箇所)/頭部のクリアーパーツの内部/脚の裏~かかとのラジエート形状/ビットステイヴの一部 になります。フレーム系統のガンメタルは純色グリーンを混ぜたグリーンがかったものを使用しています。脚部のインナーフレーム部にはパールカッパーを使用。胸部上面の発光パターンのあるクリアーパーツは印刷コートされたものを使用。選択仕様になっている部分ですが正直これがいちばんキレイに見えます。 シールを貼り込む無地のものは未使用。胸部下面のクリアーパーツは製品仕様だとイエロー部がそのまま透けて見えてしまうので裏地から蛍光オレンジを吹き付け、裏打ちとしてさらにプライマリーメタリックレッドを使用してあります。ビームサーベルの発色を変更。ランナー色ではブルーのサーベル(アニメOP色)ですが、第一話など劇中の色(「決闘」の模擬戦色なのか? 詳細は不明)に寄らせるため蛍光イエローグリーンにて上書きグラデ塗装。ライフルのビームブレイドも同様の色としてあります。
以下、カラーガイド(※比率の%は曖昧な感覚的数値です)ホワイト面(1) ホワイト95% ミディアムブルー5% シャドー部にはミディアムブルーで更に暗くしたものを使用ホワイト面(2) ホワイト95% ウルトラブルー5% ホワイト面(3) ホワイト95% コバルトブルー5%ブルー部 コバルトブルー80% マイザーパープル10% ホワイト10% シャドー部にはブラックで暗くしたものを使用レッド部 スカーレット70% ブライトレッド30% シャドー部にはミディアムブルーで濁らせたものを使用イエロー部 オレンジイエロー100% ハイライト面にはホワイトで明るくしたものを使用ブラック部 ブラック80% ホワイト20%銃器グレー部 ミディアムブルー90% ホワイト10%関節などのガンメタル部 シルバー60% 純色グリーン20% ブラック20%額などの発光部 下地・ブラック100% →基本色・スターブライトプラス100% → 表面・蛍光イエロー70% 蛍光ピンク30% →灼熱部・プライマリーメタリックレッドド100% のグラデ塗装サーベルのビーム 発生部・ホワイト100% → 全体・蛍光イエローグリーン100% → 先端部・ 蛍光イエローグリーン50% 蛍光ブルー50% ~のグラデ塗装
細部のマーキング類は主にハイキューパーツ製。RBコーションデカールを主体に使用。 ほかにもクラウドデカールの細部表記なども使用してあります。市販品デカールによる細部表記の使用パターンは、 ホワイトの面にはレッドまたはグレーの表記。 そのほかの暗い色の面へはホワイトの表記を使用するようにしています。自作品の水転写デカールも数種を使用。 クリアデカールにレーザープリンターで印刷したもので水ににじむ心配なく使用できるものです。 定着には強めな軟化剤(10秒もつけるとデカールが溶解するハードタイプ)を使用しています。 今回は主人公ガンダムということで機体色にあわせてブルーを配色に用いたデカールを多用してあります。1.「[CAUTION]」([ ]を含む)2. 脚部ダンパー型番表記(大腿部前面のブルー逆三角形)3.手首のアーマーナックル部の警告表記(ブルー)4.関節可動部警告表記・CAUTION・ローテーションハザードなどその他諸々のお約束デザイン(これまでの累積)。 市販品には無いデザインやカラーを使うため作ったもの。
機体各所にビーズ工作及びピン打ちによるメタル調細部ディテール工作もしてあります。シルバーメッキとゴールドメッキを使用。サイズは2.0mmと1.5mm。ピン打ちリベット工作に使用しているのは有頭5号針(針の軸側0.6mm)です。針の太さとドリル開口穴のサイズをあわせ、接着なしにスナップフィットさせて固定しています。
機体本体以外の付属品は
ビームライフル プロローグ登場のガンダムルブリス同様、シールドのビットステイヴと合体することによって銃身のロングバレル化が可能。機体の背中などにライフルを装着させるジョイントを側面に装着可能。ビームサーベル×2 サーベルグリップはお約束どおりランドセルの左右上部。 成形色クリアーブルーのビームサーベルを蛍光イエローグリーンにて発色を変更してあります。ビーム部は前述のとおりグラデ塗装。ビームブレイド ライフル銃口から発生する分厚いビームサーベルエフェクト。サーベル同様の色にグラデ塗装仕上げですエスカッシャン(シールド) 第一話からビュンビュン飛び回っているビットステイヴのシールド。 計11基のガンビットの集合体で分離・合体が可能。 機体本体とも合体し機動強化スラスターとして機能したりもします手首バリエーションは 純正手首 武器持ち手兼握り拳(左右) 計2つライフル携行用のジョイント発光パターンのない無地の胸部クリアーパーツ(使用しなかった選択部品です)ホイルシール 特殊印刷シールによる胸部発光の再現もこれに含まれます(表面にではなく剥がした粘着面に印刷がある)。 脚部とランドセル中央のものをこの作例にも使用しています。組立説明書
以上です。モデラー側の愚痴でしかありませんが、塗装した箇所にまた接着剤とヤスリがけするようなこのキットの構造は勘弁してほしいです。 このエアリアル一体を作る代わりにほかのガンプラなら何体作れたかを計算すると、「割に合わない」感が凄いです。 今後発売の主要MSではバンダイに改善を求めたいくらいですね。水星の魔女シリーズのコレクションを開始した方々にこそどうぞ。